歌う気分で暮らせる童話

この童話の特徴は、野菜たちの明るい「歌声」です。私たち人間も、この童話の野菜たちのように・・毎日、来る日も来る日も明るくルンルンと歌って暮らせたら素敵ですね。そのためにも、毎日眺める食卓の上で、歌う「野菜の歌声」を、心の耳で聞いてください。そして、毎食時に歌う気分でハッピーを紡いでくださいますように!

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童話「セレブのニンジン」

ニンジンさんを知らない人はいないかもしれません。それほど、有名なお野菜の一つですね。最近では、ニンジンさんも赤色のほかにも様々な色があり、カラフルになりました。
ここでは、昔ながらの赤いボディのニンジンさんのお話です。セレブちゃんというニンジンさんが、どんな気持ちで畑の土の中でがんばっているのかなあ?とイメージしてお読みくだされば嬉しいです。
セレブちゃんは、ただの有名人ではなく、実は毎日を人々の健康と幸せのために努力を重ねている努力家なのです。
お隣の白くて優しいダイコンおばさんの励ましもあって、元気にがんばるニンジンのセレブちゃんを応援してね。

 

 

ニンジンは少女たちのセレブちゃん

童話『野菜の歌声』のにんじん

「あたしを知らない人がいるかしら?」
今日もまた、白い雲に話しているのはニンジンちゃんです。
白い雲は、大空にたなびきながら答えます。
「いいえ、ニンジンちゃん。世界のどこにも、あなたを知らない人はいませんよ」
雲はいつも、こう言ってはニンジンちゃんを喜ばせるのです。
すると、ニンジンちゃんが緑の細いはっぱをゆらしながら、うれしそうに言うのでした。
「うふふ、やっぱりね。あたしは世界で知られているセレブですもの。うふ」
雲が言います。
「そう、あなたは野菜のなかでのセレブちゃんですよ」
「ありがとう、雲さん!うふ」。
そうして、地面の下へ下へとオレンジ色になっていく根っこをのばしながら、歌います。
グリーンの葉っぱと赤いボディで力をこめて歌うので、とても美しい歌声です。

♪~♪
わたしは セレブな ニンジンよ
緑の葉っぱに 赤いボディ
目立つの きらいじゃないけれど
だれでも 知ってる 有名人
カナダじゃ アンの おさげ髪
赤毛の 夢見る キャロット少女
食べる あなたも 夢みのる
あなたの 幸せ なにかしら?
食べて 一緒に 幸せになる
赤毛も 黒髪も 問題じゃない
コリコリ 食べたら 広がる幸せ
グニョグニョ 煮たのも 同じ幸せ
健康と夢は 笑顔の ツーショット
やっぱり 食べなきゃ 損しちゃう
わたしは セレブな ニンジンだもの
♪~♪

後から後から、どんどん風に流されていく白い雲たちが、つぎつぎに大きな拍手をします。
「パチパチ、パチパチ!あなたは、カナダではもっと有名なんですよ」
「拍手をありがとう、雲さんたち!カナダでは『赤毛のアン』のおさげ髪が、あたしの名前だって知ってるわ」
セレブちゃんのニンジンが答えます。ニンジンのセレブちゃんは、いつも自分で思っています。
『あたしは、もっともっと赤くなって、食べる人を元気にするの。そうして、あたしもアンのように幸せになるの』
だから、土に隠れたボディをも柔らかな砂を使って、みがきをかけています。
幸せな夢を見つづけているのです。でも、ただ夢を見ているだけではありません。
いつかは、ニンジンの売られていない所がなくなるまでがんばろう!として、コツコツ努力をかさねています。
それは、根っこを鋭くして土の奥へと伸ばすことです。でも、それはたいへんなのです。
なぜなら、セレブちゃんのいる畑の土は、特別に固いのでした。
時々、あまりの固さに負けてしまい、やわらかい土のほうへと逃げ出したくなるのです。
すると、根っこはグニャ!と曲がってしまうのです。そうならないように、毎日たたかっているのです。
だから、まっすぐな赤い体になるには、人さまへの愛とがんばる力が必要だったのでした。
それは、土の中でのことだから、お空の雲さんも知りません。
そんなニンジンのセレブちゃんの畑のすぐ隣の畝(うね)に、白くて太いダイコンのおばさんがいました。
ダイコンのおばさんは、セレブちゃんのことが大好きです。小さな苗の時から、ずっと見守ってきました。だから、いつもニンジンのセレブちゃんの努力を応援しています。
今日も、雲とセレブちゃんの話をききながら、ニコニコとほほえんでいるのでした。
雲が消えていくと、セレブちゃんとダイコンさんのいつもの会話がはじまります。

「ねぇ、ダイコンのおばさん。あたしの赤い根っこは、人さまが煮ても焼いても、赤いままできれいかしら?」
「もちろん、だいじょうぶですよ、セレブちゃん。そのきれいな色は変わらないそうですよ。これから、寒くなるとね、人さまたちは、それはそれはうれしそうにして、セレブちゃんをグツグツ煮て、有り難そうにいただくのよ」
「まあ、よかった。それから、人さまに喜ばれるほどに栄養はあるのかしら?」
「もちろん、セレブちゃんの赤い体は、栄養のかたまりなので、皆を健康にして、幸せにできるのよ」
「まあ、うれしい!あたし、ニンジンに生まれてきてよかったわ!おばさん」
「そうですね、よかった、よかった。わたしもうれしいのよ」
「ダイコンのおばさんは、ダイコンであることがうれしいの?」
「そうねぇ、わたしは白いダイコンだけど・・・。その白い色がね、ニンジンさんの赤い色のお陰で、人さまはもっともっと喜んでくれるからねぇ」
「え、どうしてなの?」
「どうやら、人さまの世界では、赤い色と白い色が並ぶとね・・・とても、善いことがあるんだ!と思って幸せになるそうですよ」
「まあ、そうなの?」
「本当に善いことかどうかは分からないけどね。でも、そうみたいなのですよ。それに、ダイコンは昔からニンジンさんとはしんせきみたいなもの。わたしは、セレブちゃん!あなたが好きですからね」
そう言うと、ダイコンのおばさんはホッコリ!とほほえみながら、雲がいなくなった真っ青なお空を見上げました。
ふたりを優しい秋の風が過ぎていきました。
ダイコンおばさんを、じっとみつめていたニンジンのセレブちゃんは、ますます力がわいてきました。
そして、心の中でそっと決心するのです。
『あたし、セレブとして、ぜったいに!外から目立ってしまう赤い色に負けないわ。中味だっておいしくって栄養たっぷりで、まっすぐなニンジンになって、世界中の人さまの少女たちを喜ばせよう~!アンが世界中の女の子に夢を与えて喜ばせているように!』と。
それが、セレブとしてのニンジンさんの誇りなのでした。だから、とても幸せなのでした。
ガンバレ、ニンジンちゃんたち!ダイコンさんと一緒にね。
そして、今日もグリーンの葉っぱと赤いボディで力をこめて歌います。

♪~♪
わたしは セレブな ニンジンよ
緑の葉っぱに 赤いボディ
目立つの きらいじゃないけれど
だれでも 知ってる 有名人
カナダじゃ アンの おさげ髪
赤毛の 夢見る キャロット少女
食べる あなたも 夢みのる
あなたの 幸せ なにかしら?
食べて 一緒に 幸せになる
赤毛も 黒髪も 問題じゃない
コリコリ 食べたら 広がる幸せ
グニョグニョ 煮たのも 同じ幸せ
健康と夢は 笑顔の ツーショット
やっぱり 食べなきゃ 損しちゃう
わたしは セレブな ニンジンだもの
♪~♪