キャベツのママは幸せな仕立て屋さん
広い空に、キャベツ畑からやさしい歌声が、響いています。
♪~♪
キャベツのママは やさしい母さん
日本に嫁いで150年
ほのかな香りは 大和(やまと)のあかし
キャ キャ キャベツの赤ちゃんタマナ
着ぶくれしていく キャベツの子
ママにあまえて まるくなる
あったかママの 心いき
ハートの手づくり ファッションショー
今日もいちまい 着せられて
あんしん しあわせ キャベツのタマナ
ママにつつまれ ヘルシー畑
きょうも あしたも まるまる幸せ
♪~♪
キャベツのママが、子守歌を口ずさんでいるのです。
ママは、空を見上げて、思い出しています。
今から、150年前の遠い昔にヨーロッパからここへ嫁いできて、落ち着いた日のことです。
お船に揺られて長い旅をして、着いたのがこの日本でした。
この土地が大好きになったキャベツのママは、この国の人たちに喜ばれようと、どんどんおいしくなる努力をしてきました。
そして、今日も小さな小さなキャベツの子どものタマナちゃんは、ママの根元に埋まっています。
優しいママは、いつもタマナちゃんを包む手作りのお洋服を着せるのが、幸せなのです。
そして、愛情をこめて歌うのです。
子守唄を聞きながら、甘えん坊のタマナちゃんが、言います。
「ママー、今朝はちょっぴり寒いよ。」
「そうねぇ。タマナや!今日はお洋服を一枚着せてあげようね。」
そして、夕暮れです。
「ママー、夕方になったら、また寒くなったよ。」
「そうねぇ。もう一枚、お洋服を着せてあげるね。」
こうして、いつのまにか、キャベツの子どものタマナちゃんは、大きくまーるくなります。
着ぶくれしてしまい、はち切れそうです。
それでも、優しいキャベツのママは甘えん坊のタマナちゃんに、お洋服をどんどん着せていきます。
知らんふりしているタマナちゃんですが、ママの甘いハートを、ちゃんと知っているのです。
だから、タマナちゃんのハートも甘いのです。
その証拠に、お洋服の一枚一枚のどれもこれも、ほのかな甘い香りがするのです。
やがて、大きく育ったタマナちゃんはキャベツのひとりとなって、朝早くにママから巣立っていきます。
ママは祈ります。
「神さま、どうかタマナがどこへ行っても捨てられませんように!人さまの皆に感謝されて、食べていただけますように!」
ある朝、聞きなれた人さまの声が、聞こえます。
「おおっ!立派、立派!これこそ我が畑のキャベツだ。お前たちは、世界へ行くのだから、がんばるんだぞ。」
そうなのです。
立派なキャベツになったタマナちゃんと仲間は、世界中へお船に揺られて、乗り出すのです。
ママの故郷のヨーロッパにだって旅しちゃいます。
ママのキャベツにとって、子どもたちは、うれしい誇りです。
日本に嫁いで150年経った今、ママよりも大きく甘く柔らかくなった子どもたちが、世界中へ飛び立つのです。
キャベツのママは、お空を見上げてうれし涙をポツポツとしたたらせながら、言いました。
「神さま、ありがとうございます。これからも生まれてくる子どもたちに、愛情を持って洋服を作り、着せていけますように!」。
お日様が、キャベツのママへ、ニコニコとほほえんでいます。
そして、きょうも、キャベツ畑は、日本晴れです。
幸せな仕立て屋さんである、キャベツのママの子守唄が、流れます。
♪~♪
キャベツのママは やさしい母さん
日本に嫁いで150年
ほのかな香りは 大和(やまと)のあかし
キャ キャ キャベツの赤ちゃんタマナ
着ぶくれしていく キャベツの子
ママにあまえて まるくなる
あったかママの 心いき
ハートのてづくり ファッションショー
今日もいちまい 着せられる
あんしん しあわせ キャベツのタマナ
ママにつつまれ ヘルシー畑
きょうも あしたも まるまる幸せ
♪~♪