野菜が好きになる童話

野菜嫌いの方には、是非、好きになっていただきたい童話です。健康上は当たり前ですが、野菜を好きになって食べると・・気持ちも優しくなるかもしれませんよ。そうなるかどうかをこの童話集をお読みくださって、お試しくださいませ。

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童話「ピーマンはリッチマン」

子ども達に、ちょっぴり嫌われているピーマンです。それでも、悲しんでなんかいられません。今年も、たくさん実をつけて「大盤振る舞い」です。いつかは、子ども達にも、おいしい!と食べてもらえる日が来ることを信じる大きな心で、青い実を豊かにつけているピーマンくんは、いわば「リッチマン」です。ハートでも実でもケチケチしません。そんなピーマンくんですが、やがて、命のリレーをしなければならない事に気がつきます。何とか、赤い実を残そうとアイデアをひらめかせます。それは、人さまとの「カクレンボ」でした。さて、どうなるのでしょうか?

 

 

かしこいピーマンはリッチマン

童話『野菜の歌声』のピーマン

秋の風がささやきだします。
あついあつい夏も終わりなのでした。
夏の間は、どんどん緑色の実をつけて、おおばんぶるまいのリッチなピーマンくんでした。
人さまの子どもたちに、ちょっぴり嫌われているのを知ったこの夏は、とくにがんばってきました。
なんとかして「こわっぱ」にも食べてもらいたいと必死だったのでした。
いっぱい実をつけて「我ながらリッチだな~」と満足していたピーマンくんです。
でも、あせり出しました。
いつまでも、人さまの子どもばかりのことを考えていられなくなってきたのです。
自分の子どもたちも作らなければなりません。
そうです。そろそろ、自分のためにも真っ赤な色の実をかくさなければならない頃なのです。
それでも、ケチケチしないで、リッチマンらしいアイデアをひらめかせたいところです。
青く広がった大空を見上げながら、ピーマンくんが歌いだします。

♪~♪
ピーピー ピーマンの 目くらまし
いっぱい いっぱい 実をつける
ガンバルンバで はちきれそう
ピーピー ピーマン 知恵つけて
なんとか 食べさせたい こわっぱに
嬢ちゃん ぼくちゃん 食べちゃえよ
おいらだって 赤くもなる
うまいぜ あまいぜ ピーピーマン
メンタルだって 強くする
見てくれ 日本の 空の下
おいらは ビタミンで 超ゲンキ
それもそのはず とうがらしの しんせきさ
おいしい おいしいと パクルンバ
食いねぇ 食いねぇ ピーピーマン
ガンバルンバでリッチになって 夏クリアー
秋が近づきゃあ 赤い実はおいらのものさ
そろそろ作るぜ 命のリレー
♪~♪

ピーマンくんは、歌っているうちに思い出したことがありました。
それは、まだピーママンくんが苗の時代のころです。
隣の畑から聞こえた子守唄でした。どんな野菜仲間の歌なのかは分かりません。
でも、歌のなかみだけは覚えていました。
『ねんねんころりよ~ねんころり。ぼうや!いい子だ~よくお聞き!秋風さんが吹きだせば、それが、合図だ、ねんころりん。命をつなぐリレーのはじまり。それは、人さまからのカクレンボ!しっかりかくれて命を守れ!ねんねんころりよ、ねんころり』
ようし!おいらは今日から人さまとカクレンボをするんだ。
いっぱい実をならせて、人さまの眼をくらましておこう。
こっそりと、人さまの目につかないところに、一つの実をかくしておけばいいんだ。
そこで、ピーマンくんは、ますますリッチさを増しました。
秋らしい青空に向けて、どんどん実を結び続けます。
人さまは大喜びです。ピーマンくんは、クスクスとひとりでほほえみながら、たったひとつだけの実を南側の葉の陰にかくしました。
だれにも気がつくはずがありません。だって、下のすみっこのすみっこですから。
やがて、その実は真っ赤になっていきました。実の中では、種が大きくなりました。
そんなある日のことです。いつもの人さまの子どもが畑にやってきました。
お父さんのお手伝いをしています。その子は、昨年まではピーマンくんがきらいで食べない男の子でしたが、今年はピーマンくんが好きになっていました。
だから、お父さんのピーマン畑に一緒にやってきたのでした。
男の子は、自分の目の高さのピーマンの実をジィーッとみつめてさがしては、摘み取ってお父さんにわたしています。
ピーマンくんは、なぜか心配になってきました。
ピーマンくんは、がんばって子どもたちに「おいしい」と言わせようとした夏でした。
だから、この男の子が自分を好きになって、畑に来てくれたのだとわかり、うれしいのです。
でも、その背丈でさがされては、かくしている赤い実がみつかりそうです。
それで、少し上についている実をゆらしてみました。
「ゆらゆら~ぱさぱさ!」
思ったとおりです。男の子はすぐにうれしそうに、上にある実をみつけてハサミを上手に使ってつみました。
『やった~!ホッ!』とピーマンくんは胸をなでおろしました。
やがて、すっかり秋になりました。人さまがやってきました。
そして言いました。
「来年のピーマンの種は、これがいいだろう」
そうして、みつけてつんだのは・・・そう、ピーマンくんの命のリレーとなるはずの、あのかくしていた赤い実でした。
すっかり、熟れてしまいましたが、中には立派な二代目のピーマンくんの子どもである種がたくさん入っています。
人さまは、その種をだいじそうに手に取り、帰っていきました。
もうすぐ枯れていくピーマンくんでしたが、なんの心残りもなくとてもとても幸せな気分でした。
その日のお空は澄みわたり、夕暮れにはきれいな夕焼けがあらわれて、ピーマンくんにささやきました。
『おめでとう~ピーマンくん!あなたは、やっぱりかしこいリッチマンでしたね。』
幸せいっぱいのピーマンくんが、夕焼け空にむかって歌いだしました。

♪~♪
ピーピー ピーマンの 目くらまし
いっぱい いっぱい 実をつける
ガンバルンバで はちきれそう
ピーピー ピーマン 知恵つけて
なんとか 食べさせたい こわっぱに
嬢ちゃん ぼくちゃん 食べちゃえよ
おいらだって 赤くもなる
うまいぜ あまいぜ ピーピーマン
メンタルだって 強くする
見てくれ 日本の 空の下
おいらは ビタミンで 超ゲンキ
それもそのはず とうがらしの しんせきさ
おいしい おいしいと パクルンバ
食いねぇ 食いねぇ ピーピーマン
ガンバルンバでリッチになって 夏クリアー
秋が近づきゃあ 赤い実はおいらのものさ
そろそろ作るぜ 命のリレー
♪~♪